もしもダンガンロンパ 第11話



ヘル。

馬鹿だったけれど、どこか憎めない奴で善悪ははっきりと区別のつく人だった。

私達と一緒にモノクマという悪に立ち向かおうとしていた。


なのに、そのヘルが私の目の前で今。無残な姿で死んでいた。


死んでいた!!!


私の叫び声を聞いた後、何人かの人が公共浴場へとやってきた。


キュー
「どうしたの!!琶月!!・・って、うわあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ディバン
「おい!一体なにが・・・うっ、こ、こいつは・・・・。」

次々と公共浴場での惨劇を目の当たりにした人達が叫び声をあげたり驚きの声を上げる。
事態の収拾がついていないその時。校内アナウンスが鳴り響いた。

ピンポンパンポーン

モノクマ
『死体が発見されました!一定の操作時間の後、『学級裁判』を開きます!』


・・・・聞いたことがあるような、聞いたことがないようなアナウンス。

琶月
「い、今のって・・・?」
ディバン
「ああ。そういえば琶月は気を失っていて知らなかったな。これは死体発見アナウンスと言って死体を三人以上の人が目撃した場合に流れる物らしい。」
琶月
「そ、そんな・・・・・。ヘ、ヘルさんは・・・つ、強い人ですよ!超高校級の馬鹿力なんだから凄い筋肉持っているんだからぜ、絶対・・・絶対生きて・・・。」
ギーン
「馬鹿を言うな。」

ギーンが座り込んでいる私に険しい視線を浴びせた。

ギーン
「心臓をナイフで刺されて生きている奴がどこにいる。」

その一言を聞いて私はまたしても意識を手放しそうになってしまった。

死んだ・・・ヘルが・・・死んだ・・・!!

琶月
「うっ・・・ううう・・・うぅぅぅっ・・!!!」
ギーン
「泣くな!泣いてもヘルは生き返らん。それより学級裁判に備えて調査した方が身のためだぞ。」
キュー
「ちょっと!!少しは悲しむそぶりを見せたらどうなの!!」
ギーン
「ほぉ。悲しむそぶりでも見せれば貴様は満足するのか?いいだろう。ああヘル。死んでしまうとは情けない。」

キューがわなわなと両拳を震わせて怒りを露わにする。

キュー
「ギーンだ・・!犯人はギーンだよ!!!間違いない!!!」
キュピル
「おい。これは一体何の騒ぎだ。」

キュピルが遅れて公共浴場へとやってくる。そして目の前に広がった惨劇を見て顔をしかめた。

キュピル
「これは・・・・・。」

キュピルが難しい表情を見せ、次にわけのわからない一言を呟いた。

キュピル
「・・・・・初めてだ。」
ジェスター
「ん?どういう事?」
キュピル
「・・・いや・・・・なんでもない。」
琶月
「・・・・・・????」
ボロ
「おいおい~さっきから公共浴場で何を騒いで・・・うぼああぁっ!!?ヘ、ヘルゥ!!?」
ガムナ
「うわ!!!!!ヘ、ヘル!!?ヘルが磔にされている!!!?」
琶月
「・・・・・・・・・。」

2馬鹿の他に、テルミットやルイなど全てのメンバーが公共浴場に現れた。
誰もが口を閉じ、次に何をすればいいのか分らないような状態だった。

・・・・冷静になろう・・・。

とにかく・・・・。またあの学級裁判とやらを私達はやらなくちゃいけないのだろうか・・・・?
もしやるとするのであれば・・・・。この中に殺した犯人がいるってこと・・・・?

モノクマ
「その通りだよ。」
琶月
「うわっ!!」

いきなり座り込んだ私の肩を後ろから掴み、もみもみと揉みしだく。

モノクマ
「うーん、年ごろの女の子の割にはふくよかさがないなぁ。」
琶月
「セ、セクハラだぁぁぁ!!!!」

私はすぐに四つん這いでモノクマの傍から離れていく。
そのださい私の行動を見たモノクマがお腹を抱えてケラケラと笑っている。むかつく・・・。

キュピル
「・・・・モノクマ。殺人事件が起きた後は何があるんだったか?」
モノクマ
「うん?そりゃもちろん学級裁判だよ!でも、学級裁判を始める前に調査しないとね。当てずっぽうで決める訳にもいかないから。」
キュー
「犯人はもうわかっているよ!!ギーンだ!!」

キューがギーンを指さす。
ギーンはただ鼻で笑い、キュピルも浅い溜息をつくだけだった。

キュピル
「・・・・勝手にどうぞ。」
キュー
「あ、あれ・・・。う、うーん・・・・。」

キュピルに突き放されたのが少しきになったのか、キューの勢いが止まる。

モノクマ
「さーってと。それじゃ、皆にこれをあげないとね。
はい!ザ・モノクマファイルゥ~2!!これにはヘルの死体の状況について細かく書いてあるからしっかり読んで調査してね。
それじゃ皆~。学級裁判でまた会いましょう~!」

そういうとモノクマはノリノリな仕草で公共浴場から出て行った。

・・・・・・。

犯人・・・・。

犯人はどうして人殺しなんかを・・・・。

琶月
「(・・・・・秘密を・・・・・ばらされないために・・・人殺しを・・・?)」


・・・・私は首を横に大きく振った。
今はこんな事を考えている場合じゃない。

犯人を見つけなければ、私達の命がない。

やるしかない。

嫌でも、やるしかないんだ!!!






琶月
「(う・・ううぅ・・・・。)」

私はゆっくりと立ち上がり、まずはモノクマから受け取った【ザ・モノクマファイル2】に目を通した。



『被害者はヘル。死亡時刻は深夜の時間帯。
死体発見場となったのは寄宿舎エリアにある公共浴場のサウナ室前。
被害者はサウナ室入口近くの壁に磔にされた状態で発見された。
体に火傷の痕あり。右拳に切り傷あり。』


琶月
「(あれ・・・・?)」

私はモノクマファイルを読んだ時すぐにある事に気が付いた。

琶月
「(致命傷について書かれていない・・・・。それに死亡時刻も曖昧・・・。)」


師匠が殺されてしまった時は・・・・確かに致命傷の事や死亡時刻の事についてかいてあったけど・・・・。
これには書かれていない・・・?

私は首を上げてヘルの死体を確認する。何度見ても辛い光景だけど・・・・。目を逸らす訳には行かない。

琶月
「(うん・・・・。まずはヘルの死体をよく調べておかなくちゃ・・・・。)」

 [言魂:ザ・モノクマファイル2]
 ->事件状況について詳しく書かれている。

『被害者はヘル。死亡時刻は深夜の時間帯。
死体発見場となったのは寄宿舎エリアにある公共浴場のサウナ室前。
被害者はサウナ室入口近くの壁に磔にされた状態で発見された。
体に火傷の痕あり。右拳に切り傷あり。胸に刺し傷あり。』


私はヘルの死体に近づく。

ディバン
「ちょっと待て。」
琶月
「はい?」
ディバン
「死体には触れるな。状況を保存する必要があるからな。」
ボロ
「そういえばディバンは事件現場の監視だったっすね。」
ガムナ
「んでもう一人がヘル・・・だったな。けどそのヘルが死んじまった・・・。仕方ねぇ、俺が監視する。」
キュー
「うん・・・そうして。」
キュピル
「・・・・俺はちょっと気になる事があるから失礼する。」

そういうとキュピルは公共浴場から出て行った。

ルイ
「あら、では私も失礼します。」
ジェスター
「あー!何か美味しい物食べようとしていない?待って~~~。」

キュピルに続いてルイ、ジェスターも公共浴場から出ていく。・・・三人とも何を考えているのかよくわからない。
三人の事は一旦おいて、私は私なりに調査をしてみよう。

さっそくヘルの死体をマジマジと観察し始める。

ボロ
「琶月、何気に慣れてるっすね。」
琶月
「ほ、本当は見たくないのに・・・。」

・・・まずはモノクマファイルにも書いてあった事を確認してみよう・・・。

琶月
「(それにしても・・・・。このナイフ・・・目立つなぁ・・・。)」

ヘルの胸・・・心臓に刺さっているナイフ。結構大きいけど、こんなナイフ。一体どこで見つけたのだろうか?
持ち手の部分にナイフの装飾なのか分らないがドクロマークとハートマークが荒々しく彫り込まれている。

琶月
「(・・・荒々しい・・・ってか・・・。まるでナイフか何かで強引に削ったぐらいに荒々しい・・・・。
  それに・・・これ・・・。なんか大きい・・・。本当にナイフなのかな?どこかで見た事あるような形もしているし・・・・。)」

 [言魂:ナイフに彫り込まれた二つのマーク]
 ->ナイフの持ち手部分にドクロマークとハートマークが彫り込まれている。
 ->かなり荒々しく掘り込まれていて素人っぽさが出ている。
 ->ナイフにしてはやけにでかい。
 ->何処かで見たことがあるような気がする・・・・。

ファン
「・・・・・・変ですね。」
琶月
「ん?何が変なんですか?」
ファン
「ヘルさんの胸にナイフが刺さっているにも関わらず、出血の痕が殆ど見当たりません。」
琶月
「え?そうですか?・・・・直視するのは凄く・・・辛いですけど・・・。それなりに出ているとは思いますけど・・。」
ファン
「言い換えます。ナイフで刺された割には出血量が少ないなと思っただけのことです。
胸だけではありませんね。手の平に打ち込まれている釘も殆ど出血が見られません。これはどういう事なのでしょうか」
琶月
「・・・えーっと・・・・。・・・・ナイフで傷を蓋しているから・・・とかですかね?」
ファン
「詳しく検死してみないと分らないですね。残念ですが僕は検死する知識は持っていないので、あくまでもこういう気になった点があった・・・ってのを
覚えて頂ければいいです。」
琶月
「(結局、私にも考えてほしいって事・・・なのかな?)」

 [言魂:少ない出血]
 ->ナイフで刺された箇所からの出血の痕があまり見当たらない。
 ->釘が打ち込まれている手の平も同様に出血の痕が見当たらない。


ガムナ
「お、おい・・・このナイフ・・・・。」
琶月
「ん?知っているんですか?」

ガムナが心底驚いた様子を見せながらヘルの胸に刺さっているナイフをマジマジと観察している。

ガムナ
「知っているも何も・・・!!こ、こいつ・・・ジェノサイダー翔のナイフじゃねぇのか!!?」
ボロ
「ジ、ジェノサイダー翔!!?」
ディバン
「お、おい。冗談はよせ。」
ファン
「ジェノサイダー翔って・・・あのジェノサイダー翔ですか?」
琶月
「・・・ん?ん?ジェノサイダー翔?それっていったい誰の事ですか?」
ガムナ
「知らねぇのかよ!?テレビ見てねーのか!?」
琶月
「えへへへ、師匠が持っている道場。林の中なので電波通じなくて・・・。」
ボロ
「だっせーーーーー!!!超高校級の貧乳は貧乳と同じくらい絶望的にだっせぇっす!!」
琶月
「ひ、貧乳は関係ないもん!!!」
ガムナ
「おう。当たり前だ・・・っと、ふざけるのは一旦置いて・・・・。ジェノサイダー翔は巷で騒がせている連続殺人鬼の野郎の事だよ・・・・。
んで、行く先行く先でカッコいい若い男をあのドクロとハートマークが掘られたナイフでぶっ刺して殺すんだよ。超高校級の軍人の俺でもいつ襲われるか・・・・。」
琶月
「ああ、それならガムナはカッコよくないフツメンの中でも下の方なので安心して良さそうですね。」
ガムナ
「うっせーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
琶月
「ギャァーーーーーーーーーーーーーー!!!」

・・・・・ジェノサイダー翔・・・・。巷を騒がせている連続殺人鬼・・・・?
それって・・・・・ギーンに見せてもらったあの超高校級の殺人鬼の事を言っているのだろうか・・・?

 [言魂:ジェノサイダー翔]
 ->今、巷を騒がせている連続殺人鬼。
 ->イケメンかつ若い男性を中心にドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺しまわっているらしい・・・・。

 [言魂更新:ナイフに彫り込まれた二つのマーク]
 ->ナイフの持ち手部分にドクロマークとハートマークが彫り込まれている。
 ->かなり荒々しく掘り込まれていて素人っぽさが出ている。
 ->ナイフにしてはやけにでかい。
 ->何処かで見たことがあるような気がする・・・・。
---------------------------更新-------------------------------
 ->ジェノサイダー翔が持つナイフらしい。

ガムナ
「それにしてもジェノサイダー翔・・・。ヘルを壁に磔にするなんて・・・。なんて恐ろしい奴だ・・・。」
琶月
「(・・・・後で書庫に行ってあの超高校級の殺人鬼についても調べなおさなきゃ・・・・。)」


ヘルの死体について調べなければいけない所は他にもある。
ナイフの事とジェノサイダー翔の事については一旦置いて・・・。別の事を調べよう。

琶月
「(次に調べなければいけないのは・・・・。右手の切り傷かな・・・・。)」

立ち上がって右手の傷を確認しようとしたが、そもそもヘルは両方の手の平に釘みたいなものを撃ち込まれて壁に固定されているため
いくら背伸びした所で手の傷を確認することが出来ない。低身長を悔やむ。
・・・同じくらい身長の高い人に見て貰わないと。

琶月
「あの・・・ディバンさん。」
ディバン
「何だ?」
琶月
「ヘルさんの右こぶしに切り傷があるらしいんですけど・・・・。私だと身長が届かなくて見てもらえませんか?」
ディバン
「・・・流石に両手をあげてる奴の拳を見るのは俺でも厳しいな。」
ボロ
「肩車っすよ!肩車!!」
ガムナ
「まな板ぁぁ!!俺が肩車してやるぜぇぇ!!」
琶月
「わああーー!!やだやだやだやだ!!変態二人に肩車なんかされたくないーーーーー!!!!」
キュー
「じゃー私がしてあげる。」



・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。


琶月
「えーっと・・・・。」

キューさんに肩車してもらいながら拳の傷を確認する。
・・・ザ・モノクマファイルにも書いてあった通り、右拳に切り傷らしきものがあり出血した後がある。
でも、どうしてこんな所に切り傷が?拳で戦ってナイフで切られて切り傷でも出来たのだろうか・・・・。

琶月
「(それにしては・・・何か変な傷・・・・。)」

ナイフだったらもっと深い傷を負っているか、あるいは浅い切り傷があるはずなんだけど・・・。

琶月
「(なんか・・・ぶつけたような傷っぽい・・・?)」

 [言魂:右拳に出来た切傷]
 ->右手の拳に複数の切り傷が出来ている。
 ->出血した痕あり。
 ->切り傷というよりはぶつけた時に出来た傷っぽい。


琶月
「(それにしても・・・・。)」

ヘルを張り付けにしている方法は両手から壁に打ち込まれた釘だが・・・。

琶月
「(・・・痛そう・・・・。それに、こんな釘。どうやって打ち込んだんだろう・・・・。)」

 [言魂:両手に打ち込まれた釘]
 ->ヘルの両手を貫通するように釘が壁に打ち込まれている。

その時、グラッと体が大きく揺れた。キューがバランスを崩したようだ。

キュー
「は、琶月ぃ~!バランス崩れそう!!落ちるーー!!」
琶月
「わっ!わっ!!キューさん!!バランスとって!!

私は両腕をぶんぶん振ってバランスを取ろうとするが、そのままキューは後ろに倒れて私を後ろへと放り投げた。

琶月
「ギャァァーーー!!」

堅い浴槽の床に頭をぶつけてきっと私は死ぬ!!
ああ、師匠。今そっちにいきます・・・・。

ボロ
「うお!あぶねぇっす!」
ガムナ
「受け止めろ受け止めろ!」

堅い浴槽に頭をぶつける前にボロとガムナが私の背中に飛び込み受け止めてくれた。
が、そのまま二人も一緒に後ろへと崩れ、次にゴンと固い音が聞こえた。

ガムナ
「あ、あぶねぇー・・・。ヘルメットがなければ即死だった。」
ボロ
「軍オタで良かったっと思った瞬間だったっす。」
琶月
「あ、ありがとう・・・。」
ガムナ
「お礼に胸揉ませろ!!」

ガムナがそういうと両腕両足で私に絡みついてきた。

琶月
「ギャァーーーーーー!!助けてーーーーーーーー!!!」
キュー
「何やってんのよ!!!」
ガムナ
「あがっ!いでっ!顔を踏むな!!助けたのに!!!」

拘束が解けるとすぐに私は二人から離れて行った。
・・・目の前で人が死んでいるのに、なんてお気楽な人達なんだろう・・・・。

琶月
「はぁ・・・・。」

・・・・忘れよう。想定外な事もあったけど、調査を続けないと。

琶月
「(他にも公共浴場には調べるべき所が沢山ある・・・・。)」

ザ・モノクマファイルによると・・・ヘルの体に火傷の痕があるらしい。

琶月
「(えーっとえーっと・・・・。・・・・あれ・・・ここ?)」

ヘルの右腕に赤くなっている所がある。・・・これが火傷の痕なのか分らないけれど・・・・。

 [言魂:右腕に出来た火傷の痕]
 ->右腕に火傷の痕がある。
 ->どうして火傷の痕が出来ているのか不明。

琶月
「(・・・・ヘルの死体に関する状況は以上・・・かな・・・。)」

・・・ヘルは何で殺されたのか。多分胸を一突きしているあのナイフで間違いないんだろうけど・・・・。
さっきからず~~~~っと思っている事を口にしてみよう。

琶月
「それにしても・・・よくあのヘルに勝てたね・・・・。」

琶月の言葉に食いつくようにディバンも口を開いた。

ディバン
「ああ。それは俺もずっと思っていたところだ。
・・・犯人は一体どうやってヘルを殺した?」
ガムナ
「輝月がやられちまった時も似たような話になったけどよ・・・・。正直俺は輝月以上にヘルが殺されたことにびっくりだぜ。」
ボロ
「本当そうっす。悔しいっすけど・・・俺はちょっとナイフ一本じゃ勝てる自信ないっすね。」
ガムナ
「死体を磔にしているこの状況もそうだ・・・・。 ヘルの推定体重は80Kg前後。そんな重たい人を持ち上げて壁に打ち付けるのは男性でも辛いな。
少なくとも、女性には無理なんじゃないのか?」
ディバン
「つまり犯人は男性という事か?」
ガムナ
「うーん、どうだろうなぁ。少なくとも磔にするのは並の女性じゃ無理なんじゃねぇのかな・・・。」


・・・今の発言は重要かも?

  [言魂:ガムナの証言]
 ->ガムナが以下の発言をしている。

「ヘルの推定体重は80Kg前後。そんな重たい人を持ち上げて壁に打ち付けるのは男性でも辛いな。
少なくとも、女性には無理なんじゃないのか?」


果たしてヘルはどういう状況で死んだのだろうか・・・・。まともに正面からやりあって無傷で勝てる相手じゃないと思うんだけど・・・・。
それに火傷とか手に打ち込まれた釘とか理解に苦しむ箇所が非常に多い。調査を続ければ分るのだろうか・・・・。

琶月
「(次は現場の状況について色々調べてみよう・・・・。)」

まず、死体の次に目立つのはサウナ室前に散らばっているガラスの破片だ。

琶月
「(このガラスの破片・・・・。サウナ室の扉についている小窓の破片だ・・・・。どうしてサウナ室の小窓が割れているんだろう・・・。)」

 [言魂:ガラスの破片]
 ->死体の近くでガラスの破片が飛び散っている。
 ->サウナ室の扉についている小窓の破片。


琶月
「(念のためサウナの中も確認しておこうかな?)」

立ち上がると、ドアハンドを押してサウナの中に入る。
電源は入ったままで、ムワッとした熱気に包まれる。ここに長居はしたくない。調べるところは調べて早く出よう。
サウナの中でキョロキョロと見渡し何か変わった所がないか調査するが特に変わった所は見当たらない。

琶月
「(うぅぅ・・・あ、暑い・・・・。は、早く・・・で、出よう・・・。・・・・・・・・・ん?)」

サウナから出ようとしたちょうどその時。扉に蹴破ろうとした跡があった。
蹴ったと思われる場所に少しだけヒビが入っている。

琶月
「(・・・・どうしてこんな所に蹴破ろうとした跡が・・・・。・・・全然分らない・・・・。)」

 [言魂:サウナ室の扉の傷]
 ->サウナの扉を蹴破ろうとした跡がある。
 ->サウナに入った時に気が付いた。


琶月
「(と、とりあえず早く出よ・・・・。)」

私はサウナから出ようと扉を押したが、何故か扉を押しても開かない。

琶月
「あ、あれ・・・!?」

・・・・・・今度は扉を引いてみる。するとあっさりと空いた。

琶月
「あ、なんだ・・・・。」

サウナから出る私。が、いまの流れを2馬鹿が見ていたのか指さしてプークスクスと笑っていた。

琶月
「・・・ばかぁー!!!」
ガムナ
「おっと、ヒンヌーから馬鹿って言われても可愛く見えるだけだぜ。」
ボロ
「ばかぁーーwwww」
琶月
「む、むぅぅぅ!!」

いくら怒った顔をしても二人はただケラケラと私を指さして笑うだけだった。真面目に調査する気があるのか!

 [言魂:サウナの扉]
 ->サウナへは扉を押して入る。出るには扉を引いて出る
 ->取っ手はドアハンドル型、


額にたまった汗を拭い去る。

琶月
「(あー、暑かった・・・。あんなところに長時間居たら脱水症状になっちゃうよ・・・。ヘルはよくあんな所に毎日長時間居られるね・・・。)」

他に事件現場で調べるべき個所がないか辺りを見渡すが、気になる所は大体調べたと思われる。

琶月
「(うん・・・調べるところは調べた気がする。)」

これ以上この現場から新たな情報を得るのは難しいだろう。

琶月
「(他に調べておきたい所は・・・・。・・・・ジェノサイダー翔の事だよね、やっぱり。
ジェノサイダー翔の事を調べるならまたあの書庫室に言ってフランス語で書かれた本を読まないと。・・・でも、ギーンの力を借りないと読めないし・・・。うーん・・・。
あ、ジェノサイダー翔の他にも昨日の深夜公共浴場付近で誰か見ていないか聞き込みしてみたほうがいいかな・・・・。)」

・・・まずは、公共浴場にいる人達に聞き込みを行ってみよう。
私がずっと調査を続けている間にいつの間にかファンとルイとギーンが居なくなっていた。・・・今ここにいるのはディバン、テルミット、2馬鹿、キューの5人だけだ。
まずはディバンに話しかけてみよう。

琶月
「あの、ディバンさん。」
ディバン
「何だ?」
琶月
「モノクマファイルによると・・・。」
モノクマ
「ザ・モノクマファイルだよ。」
琶月
「・・・・モノクマファイルによると・・。」
モノクマ
「ザ・モノクマファイルだよ。」
琶月
「さっきから一体何なんですか!どう呼ぼうと私の勝手じゃないですか!!
このモノクマファイルに!」
モノクマ
「ザ・モノクマファイルだよ。」

・・・・・降参します・・・。

琶月
「このザ・モノクマファイルに・・・。」

私が正しく言い直すとモノクマはそのままどこかに消えて行ってしまった。
一体何がしたいのか。暇なのだろうか?
とにかく私は話を続けることにした。

琶月
「死亡時刻が深夜の時間帯となっていますけれど、夜に何か気になったこととかってありませんか?」

流石に深夜に公共浴場に入っていく人は見ませんでしたか?っと聞くとピンポイントすぎる質問になるのでアバウトに聞いて広く情報を探る事にした。

ディバン
「そうだな・・・。昨日はジェスターが寄宿舎エリアをよくウロウロしていた気がするな。」
琶月
「・・・ジェスターさんが?」
ディバン
「そうだ。俺は食堂でずっとファンと話をしていたが、出入り口からうろうろしているジェスターを何度も見かけた。
場所的に公共浴場に近いが・・・・。気になるなら調査してみるといい。俺は死体の見張りでここから動けないからな。」
琶月
「・・・わかりました。ありがとうございます。」

・・・・後でジェスターさんに話を聞いた方がよさそうだ。

 [言魂:ディバンの証言]
 ->昨日の夜、寄宿舎エリアでジェスターがずっとウロウロしていたらしい。
 ->ディバンの見た位置から考えて脱衣所前をうろうろしていた事になる・・・?

他にも有益な情報を持っていないか全員に話しかけてみることにした。
まずはテルミットだ。

テルミット
「うーん、夜ですか・・・。特に心当たりはないですね・・・。」

テルミットは有益な情報は持っていなさそうだ・・・。

キュー
「え?夜?・・・・うーん・・・・。昨日の夜はプールでずっと泳いでいたから分らないや・・・・。ごめんね・・・。」

・・・キューも有益な情報は持っていなさそうだ。
聞くのも躊躇いそうになるが一応2馬鹿に聞いてみる。

・・・・が。

ガムナ
「そんな事より俺と良い事しない?」
ボロ
「しないっすか?」
琶月
「(もういやだこの二人・・・・。真面目に調査する気ないみたい・・・・。いっそ二人が黒だったりして・・・・。)」

予想通りの結果だった・・・。
もう公共浴場で調べられることは調べたはずだ。他の所を回ろう。


琶月
「(・・・・それにしても・・・。)

今回の事件は気になる点と謎が多すぎる。
公共浴場だけで既に前回の事件以上に気になる点を発見してしまっている。
学級裁判になった時、ちゃんとこれらの事を整理して真実に近づくことが出来ればいいのだけれど・・・・。

琶月
「・・・・めげちゃだめ・・・!!亡くなった師匠のためにも・・・頑張んなきゃ・・・・。」

自分の顔を二度叩き、正面向いて私は公共浴場から出て行った。





続く



---ここまで出た言魂---

  [言魂:ザ・モノクマファイル2]
 ->事件状況について詳しく書かれている。

『被害者はヘル。死亡時刻は深夜の時間帯。
死体発見場となったのは寄宿舎エリアにある公共浴場のサウナ室前。
被害者はサウナ室入口近くの壁に磔にされた状態で発見された。
体に火傷の痕あり。右拳に切り傷あり。胸に刺し傷あり。』
  [言魂:少ない出血]
 ->ナイフで刺された箇所からの出血の痕があまり見当たらない。
 ->釘が打ち込まれている手の平も同様に出血の痕が見当たらない。
  [言魂:ジェノサイダー翔]
 ->今、巷を騒がせている連続殺人鬼。
 ->イケメンかつ若い男性を中心にドクロマークとハートマークが彫り込まれているナイフで殺しまわっているらしい・・・・。
  [言魂:ナイフに彫り込まれた二つのマーク]
 ->ナイフの持ち手部分にドクロマークとハートマークが彫り込まれている。
 ->かなり荒々しく掘り込まれていて素人っぽさが出ている。
 ->ナイフにしてはやけにでかい。
 ->何処かで見たことがあるような気がする・・・・。
 ->ジェノサイダー翔が持つナイフらしい。
 [言魂:右拳に出来た切傷]
 ->右手の拳に複数の切り傷が出来ている。
 ->出血した痕あり。
 ->切り傷というよりはぶつけた時に出来た傷っぽい。
  [言魂:両手に打ち込まれた釘]
 ->ヘルの両手を貫通するように釘が壁に打ち込まれている。
 [言魂:右腕に出来た火傷の痕]
 ->右腕に火傷の痕がある。
 ->どうして火傷の痕が出来ているのか不明。
   [言魂:ガムナの証言]
 ->ガムナが以下の発言をしている。

「ヘルの推定体重は80Kg前後。そんな重たい人を持ち上げて壁に打ち付けるのは男性でも辛いな。
少なくとも、女性には無理なんじゃないのか?」
  [言魂:ガラスの破片]
 ->死体の近くでガラスの破片が飛び散っている。
 ->サウナ室の扉についている小窓の破片。
  [言魂:サウナ室の扉の傷]
 ->サウナの扉を蹴破ろうとした跡がある。
 ->サウナに入った時に気が付いた。
  [言魂:サウナの扉]
 ->サウナへは扉を押して入る。出るには扉を引いて出る
 ->取っ手はドアハンドル型、
  [言魂:ディバンの証言]
 ->昨日の夜、寄宿舎エリアでジェスターがずっとウロウロしていたらしい。
 ->ディバンの見た位置から考えて公共浴場前をうろうろしていた事になる・・・?



追伸

この時点で犯人とその殺害方法が大まかに予測出来ていたら神。(ジェノサイダー翔の下りはあれですが


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